- 「第11回高校生ラップ選手権 in 仙台」放送!
- 第11回高校生ラップ選手権 独断と偏見にまみれた感想
- 第11回高校生ラップ選手権 全体的に思ったこと
- ※賛否両論を巻き起こしたラップ歴2ヶ月のMOGURAについて
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「第11回高校生ラップ選手権 in 仙台」放送!
(4月10日(月) 21:00~23:30)
『http://hiphop.ヒップホップまとめ.com』様からの引用画像
きちんと会場(仙台PIT)に足を運んだリスナーもいれば、YouTubeに違法アップされた動画を観てしまったリスナーもいるだろう。
それほどに、今や待ったなしの時代。
公式番組が放送前なのに、大勢の人間が見るブログで、全バトル結果のネタバレをしてしまうのは良くないかもしれない。
だがしかし、そんなことは気にせずズケズケと、思いの丈を全てぶちまけて行くことにする。
すぐに拡散してしまうのは、最高のコンテンツであることの証。
『http://hiphop.ヒップホップまとめ.com』様からの引用画像
全試合のバースを知りたい場合、上記サイト様の、『http://hiphop.ヒップホップまとめ.com/11kai/』にて読む事が出来ます。
第11回高校生ラップ選手権 独断と偏見にまみれた感想
今大会は、なによりも決勝戦が凄まじかった。
その一点だけで観に行った価値があると思えたほど、強烈なスキルの応酬を見せ付けてくれた。
であるから、決勝戦の様子だけを深く掘り下げ、他は軽くまとめて筆を置くことにする。
「嫌われ役・Core-boy」VS「とんち番長・9for」
※9forは青文字、Core-boyは赤文字でラップカラーを分けることにする。
9forの1バース
「約何年経ったろう」というサンプリングからスタートする9for。
「気持ちも目線も一直線に 貰いに来たぜキングオブステージ」で会場を沸かせる。
それに加えて、「俺はお前に一回負けたリベンジの気持ち 燃やせ命」という雪辱戦であることを一本目で強調付け、観客を味方に付けようとした。
Core-boyの1バース
Core-boyは、「燃やす命→お前のラップがひもじい→感じらんねぇ気持ち→首元いただくぜハサミギロチン」と流れるように真っ向勝負のライミングを披露する。
続けざまに、「みんなが見たい俺の負けるとこ 佐渡裕(さどゆたか) VIVA(ビバ) ボレロ マエストロ」と、観客が抱いているであろう想いを、音楽映画ネタを被せて返した。
YouTubeのコメント欄では、「なんで佐渡裕? マエストロ? 韻踏むための韻じゃねぇーか」と批判している者もいたが、マエストロという作品は、負け犬楽団員が最終的にコンサートを大成功させるという、逆転劇を描いたものでもある。
それゆえ、Core-boyの返しは、「首元かっきりに行く、俺の音楽性で下克上」という意味合いが込められており、さすがとしか言いようがなかった。
Core-boyは日頃から、ツイッター・YouTuber上で、これでもかというくらい罵倒されている嫌われ者キャラである。
そんな状況を一変させるという意味合いを込めての、下克上ライミングだったという捉え方が可能だ。
9forの2バース
「マエストロ HIPHOP 指揮を執るのは俺の方だ」からスタートした9forは、「ハサミギロチン→飾り仕込み→勝利の女神・玉井詩織(ももいろクローバーZ)」と、コミカルかつ巧みに韻を用いて返す。
完璧なアンサーをした後は、「屍の山と現場の数を踏んでここに来てんだよ!」と、タダでは帰らないという鬼気迫るシャウトで締めた。
Core-boyの2バース
「間違いない あんたはメチャクチャかっこいいぜ だからこそ超えなきゃいけねえ壁」とリスペクトを下地にした想いを叫ぶCore-boy。
最後まで、「身内のしてく断腸の思い あんたと上げる関東の狼煙」と、9forを持ち上げた。
3バース目に関しては、どちらも有効打撃は少なかった
9forが、「お前はソウルがねえ→どの面下げ→お前してるの姑息な真似」と悪くはないけれどなんともいえない言葉に対し、Core-boyは「姑息な真似なんてしてねえだろ→目と目を合わせて一対一→勝って成り上がり方はピカイチ(もしくは一回切り)」と綺麗に返したが、これだけハイレベルのラッパーになってくると、普通の流れに思えてしまう。
終始、「これ9for行くな?」「いやCore-boyか?」と迷いを生じさせるほどに、バッチバチに決め合った素晴らしい試合であった。
当然のように行われる延長戦
Core-boyの1バース
「俺が負けると思ってんだろ ひっくり返してやるから見とけ」と、第6回の優勝者・ニガリの有名な言葉をサンプリングするCore-boy。
割れんばかりの歓声。
あれだけ9forムードだった会場を、胸ぐら掴んで引き寄せることに成功。
それから、「俺も腹くくった ジブラのせがれだ」と自分に言い聞かせつつ、「帰って寝とけへたれぱん」と攻撃的な攻めを見せた。
ちなみにへたれぱんというのは、伝説のラッパー・TOKONA-Xの『知らざあ言って聞かせやSHOW』にある、「ケツ押さえて寝たれ へたれPANG」の改変サンプリングだ。
9forの1バース
9forは、「俺はパンも角を取る まあオセロで言ったら角を取る」と、あえて食パンという柔らかいワードを出した訳だが、これまた改変サンプリング(ERONEの「的を狙う オセロで言ったら角を狙う」)で、お洒落な返しだ。
意味を伴ったこの即興性は、高校生という枠組みで語るような小さなレベルではない。
その後に放った、「お前の尖ったディスも角を取ってから 気付いたらお客の目は丸くなったな~」というものに関しても、正鵠を射た指摘だ。
なぜなら、この二人の試合が始まるまではどちらかといえば、9forの勝ちを、Core-boyの負けを願う空気が漂っていたのに、Core-boyが高レベルなスキル+リスペクト精神を見せたことによって、観客の見る目が変わったからだ。
その変化にまで言及し、「そこのところ お前をスキルでひっくり返すぜ」とオセロネタで潰しに掛かるとは、その異端ぷりに驚愕するばかり。
Core-boyの2バース
Core-boyも、9forが最後に「筋肉番付」と口にしたことに対し、「ケインコスギ→封鎖レインボーブリッジ→そんくらいのスキル見せて行くぜ」と、軽々ライムで応戦。
しかし、残念ながらこのバースは打撃力が弱かった。
防御は出来たものの、攻撃出来ず。
9forの2バース
隙を突くように9forは、「お前が俺にマルっつたな お前の言葉の質量はゼログラビティだぜ」からの、「すぐに返す数字ネタ 俺にそれは通じねえなあ」と躊躇いなく殺傷力の高い言葉を放り込み、客を倍々に盛り上げていった。
Core-boyの最終バース
Core-boyはこの最終バースで、「通じねえぜ→勝利目前、有刺鉄線」と食らい付いたが、もうこの時点で会場の雰囲気も、9for優勢になっていた。
余談だが、大乱闘MCバトルでCore-boyは、「あんたの目の前、宝の山→だけども向かうは高田馬場→つまりはいかれた頭の中→勝利目前バナナの皮」と畳み掛けていたことがあった。
得意とするライム運びの応用といったところか。
9forの最終バース
そして9forは、「いつか俺を見る角度も変わる 俺がバース蹴ったなら 泣く子も黙る」と語尾を強め、手加減なしで殴りに行きKO勝ち。
とんちの利いた言葉の数々で、文句なしの優勝を飾った。
第11回高校生ラップ選手権 全体的に思ったこと
やはり天才だったCore-boy
「決勝戦が恐ろしく最高!」という論を展開してきた訳だが、正直なところ、Core-boyはそれ以外の試合の方がスキルを出し切れていた。
たとえば、G-HOPE戦では、「錬金術」というワードを耳にした瞬間に、「言わずと知れたベストバウトMC ライム錬金術 エドワード・エルリック(アニメ・『鋼の錬金術師』の主人公)」という鬼も唸らせるような高度な韻を踏んでいた。
決勝戦ではスタミナ切れというか、『リスペクト&勝利への意気込み』が強過ぎた結果、直接的な物言いが目立ってしまい、接戦の末、負けてしまったのだと思われる。
それでも、一発目の大舞台でここまで魅せられるのは、常人技ではない。
弱冠16歳のCore-boyは、ここから常軌を逸した進化を遂げるのは、間違いないだろう。
ミメイと4stumpは、早いとこ優勝候補に負けて良かったのではないか
ミメイは9forに、4stumpはCore-boyに敗北した。
だが、「もっと試合を観たかった」という想いを、客の心に生じさせた。
人気を奪い合う世界というのは、『一発目の露出』がなにより大切であり、たとえ勝利しても観る者を魅了出来なければ、全てが水の泡となる。
それゆえに、短時間で持ちうる力を全て発揮して、綺麗さっぱり負けて帰るのは、ある意味勝ったようなものである。
かっこ良く負けることが、マーケティングに繋がる。
会場に足を運んだリスナー、画面の前のリスナーに、「次は勝ってくれるだろ」「絶対応援する」という期待感を持たせられるからだ。
下手に勝ち上がるよりも、華麗に負けた方が、新しいチャンスがいくつも舞い降りてくる。
※賛否両論を巻き起こしたラップ歴2ヶ月のMOGURAについて
北海道屈指の進学校に通う優等生・MOGURAは、なんと今大会でベスト4入りを果たした。
坊ちゃん刈り、ネクタイ着用、着崩さない制服、慌ただしい身のこなし。
捻くれたメガネのタラちゃんというキャラクターだった。
その上、「憤慨の模様ぉぉぉおおwww」「まったく客沸かしてないじゃんw」「ちょびちょびして自信ないのかな?」など、MOGURAニキと呼びたくなるような、プロ2ちゃんねらー的な言語センスで、対戦相手だけでなく客すらも煽る形になった。
結果、MOGURAニキは、イケメンラッパー二人を論破し、ベスト4入りしたのであった。
そんな彼に、「煽られた!」とリアルに憤慨するリスナーたちの一部が、YouTubeやツイッター上で、「MOGURAうざい」「MOGURAネタ仕込み過ぎ」「MOGURA嫌い」と、罵詈雑言を叩きつけている。
それに対してMOGURAニキは、「批判するのは早いかと思います。僕は韻を踏む練習をしたりと努力をしているんですよ?」と、ナチュラルに煽り返すかのようなツイート(削除済み?)をしていた。
もはや、ナチュラルボーンMOGURAニキであることは間違いなく、彼は天才的な煽り技術を備えた、希有なラッパーであった。
ある意味、決勝戦より盛り上げていた。
オーディションでMOGURAニキを発掘出来たことによって、「MOGURAニキを高画質で観てぇ」「MOGURAニキのラップを高音質で聞きてぇ」「MOGURAニキの煽りが全国放送されるぜぇ!」という願いを持った人々が大量発生し、いつもより視聴率がアップする可能性すらある。
テレビ放送とはそういうもので、一人の変わり者が、全てを凌駕するかもしれない世界なのだ。
そう考えると、今大会は実質的に、MOGURAニキが優勝したといえる。
少なくとも僕は、MOGURAニキを応援し続ける。
放送当日、MOGURAニキに対するツイートが爆発することだろう。
そんなMOGURAニキ祭り・「BSスカパー! BAZOOKA!!! 第11回高校生ラップ選手権 in 仙台」は、とうとう明日放送される。
(4月10日(月) 21:00~23:30)
MOGURAニキを見逃すな!
友達と2人焼肉食べて会計してたらいきなり学校教師3人と遭遇してワロタwww
— MOGURA@ラップ (@MOGURA0818) 2017年4月5日