- 国民が容認する『乱闘』という決闘行為について
- 野球の『乱闘』に『決闘罪』は適用されないのか?
- 一般の会社でも『乱闘OK』にしないと不公平ではないか?
- プロ野球選手は、ファンのために乱闘騒ぎを起こす?
- 雑記・野球の乱闘で選手生命が終わった人について
国民が容認する『乱闘』という決闘行為について
野球中継を見ていると、「うぁぁぁー! 顔面直撃! デッドボールだぁぁ!!」と実況アナウンサーが叫び散らし、乱闘騒ぎが起きることが時折ある。
身長180cm超えは当たり前のマッスルマンが、「ウラァア!」「おいゴラァァっ!」と本格派極道のような威嚇を行い、スタタタタタッ、スタタタタタッ! と鬼気迫る速度で相手チームを物理的に始末しようとする。
ヘルメットを叩きつけ、木製バットを投げつけ、飛び膝蹴りを決める。
まるで暴走族の縄張り争い、チーマーのギャル男狩り、マフィアの内部抗争の如き過激なトラブルである。
一体全体どうして、野球やサッカーをはじめとしたスポーツだと、『乱闘』と言う名の『決闘行為』が良しとされているのだろう。
僕の中学時代のクラスメイトに、野球の乱闘を見て喧嘩を覚え、他校に殴り込みを仕掛けて少年鑑別所に叩き込まれたヤンキーが数人いた。
後から聞いた話だと、彼らは金属バット片手に突撃したとのことだった。
人生の死球をおのずから受けにいった彼らは、今では負け組底辺として絶望的な暮らしを送っている。
社会から永久追放されたようなものである。
野球の『乱闘』に『決闘罪』は適用されないのか?
日本には、『決闘罪ニ関スル件』という法律が存在し、決闘を実行したり、関与することで罪が成立するとされている。
その場で立ち会ったり、場所を貸すだけでも処罰されることがある。
ではなぜ、野球の乱闘は決闘罪に問われないのか?
この件について、司法書士の及川修平氏が見解を述べている。
プロ野球が「興行」という側面を持つもので、この乱闘というものもある種の見世物的な意味合いとして世間一般に受け入れられているからだろうと考えられる。
なぜプロ野球選手は乱闘をしても逮捕されないのか (及川修平 司法書士) : シェアーズカフェ・オンライン
世間的な常識として、野球の乱闘=パフォーマンスとして捉えられているから、お咎めなしのようである。
だが本来は、野球をすることが正当業務なはずだ。
そこへ乱闘の付随を許可するとは、なんとも自由な世界だな、と思わずにはいられない。
一般の会社でも『乱闘OK』にしないと不公平ではないか?
僕が今日に至るまで働いてきた全ての会社で、乱闘が起きたことはただの一度もなかった。
野球のデッドボールに相当するミスを連発しても、金属バットをフルスイングされたことがない。
それもそのはず、わざと会社や人間に損害を与えた訳ではないことくらい、誰もが分かっているからだ。
通常はミスに対して、鉄拳制裁という裁きを加えることはない。
そんなことを常習的に行うならば、獣の飼育と同じになってしまう。
にも関わらず野球の世界では、デッドボールという失敗行為に対して、肉体破壊を目指すお仕置きをしようとする者が、希に現れる。
選手生命が掛かっているから、致し方ないのだろうか?
それならば一般企業でも、会社に大打撃を与えた社員であれば数発殴っても良いことになってしまう。
お茶をこぼす→掌底打ち。
コピーミス→フリッカージャブ。
売り上げ未達成→胴回し回転蹴り。
一般の会社で業務中に、このような格闘技術を見せ付けると、逮捕されるだろう。
しかしプロ野球選手になれば、合法的に殴れるような状況になっている。
やはり利権が絡んでいる物事には、国家も社会も甘くなるということだ。
プロ野球選手は、ファンのために乱闘騒ぎを起こす?
「みんなを楽しませよう!」という気持ちで、ブチギレているのだろうか。
キレ芸をしている途中で、次第に本気で怒りが漲ってくるということもありそうだ。
確かに良く考えると、乱闘が展開しても、誰かが担架で運ばれてしまう光景はまずない。
台本のない即興プロレスリングという見方も出来そうだ。
客側、視聴者側としては、乱闘という非日常の出来事を見ることで、大変得をした気分になる。
その点を考慮すると、選手はストレス解消になり、僕たちはワクワクすることが出来るから、双方にとって利益のある行為だなと思えてくる。
プロの社会人として野球選手は、僕たちを本気で楽しませようとしてくれているのだ。
これからも是非、健康的で文化的な乱闘騒ぎを、見届けてゆきたい。
雑記・野球の乱闘で選手生命が終わった人について
その昔、ジーン・バッキーが、乱闘騒ぎの中での殴り合いによって、右手の親指が壊れ、その年に引退に追い込まれてしまったことがある。
他にもデッドボールを食らったクロマティが、投手である宮下の顔面を、粉砕ストレートパンチで大爆発させるように腫れさせた。
時として乱闘騒ぎは、手加減一切なしのセメントマッチになってしまうことがあるのだ。