ピピピピピの爽やかな日記帳

親の経営コンサル会社で働く20代後半、社内ニートの話

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トイレ休憩すら許可が必要なブラック企業-高卒底辺/就職事情の現実

 僕は生粋の社会不適合者ゆえ、ありとあらゆる企業に勤めては、飛ぶ(バックレ)を繰り返してきた。
 高卒で足切りされないところに限定された話にはなるが、種々雑多な会社に潜り込めた。

 数をこなすごと神経が図太くなり、面接慣れもして来たため、第一印象と減らず口が磨かれた。
 採用率はぐんと上昇して行った。

 そこで痛感したのは、大卒が数多くいる会社の規制は緩くて風通しが良く、高卒だらけの企業は「トイレ休憩」すら許可が必要な劣悪環境である率が極めて高い、ということだった。
 接客業で周知の意を込めた許可制であれば話は別だが、オフィスワークかつ誰がどう見ても余裕のある時間でも、勝手な起立・移動・小便は許されない。

 今回はそんな、高卒底辺の就職事情を、31歳男子の僕がためらいなく書き記します。

高卒向け=性悪説/大卒向け=性善説

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 遠慮会釈なくいえば、高卒だらけの企業は無機質な刑務所、大卒だらけの企業はオシャレなカフェと表現したくなるほど、両者に明確な差がある。
 中には、高卒底辺にも門戸の開かれた優良企業もあるだろうが、ごくごく少数であろう。

 無論、サンプルが僕一人なのと、僕が飛び込んできた100社ほどの会社(東京都)がどれも、たまさかそんな風に偏っていた可能性もなきにしもあらずなので、そこはご容赦願いたい。

 高卒向け企業は、正社員や契約社員、アルバイトという雇用形態に関わらず、大卒のそれと比べて妙に規制が厳しい。

「おまえらは頭が悪いんだから、言われたことをひたすらこなせ。それがおまえら向けのプロフェッショナルだ」

 上司の顔にはそう書かれてあった。

「自己裁量権」に驚きを禁じ得ない高卒底辺

 とある時期、大手企業のグループ会社に入社したのだが、そこはWEB制作・対面営業・テレアポの部署が横並びになっていた。
 立ち上げ当初から参加した僕は、テレアポ部のマネージャーとなったため、全部署合同の決起集会・飲み会・研修会などに参加する機会がいくらもあった。

 この会社には、東大・慶応・早稲田など、有名大学を出た社員も数多くおり、起業のための足掛かりとして働いている者も多かった。
 つまり、レールから脱線せず真っ当に生きられている大卒がわんさかいたのだ。

 そこで僕が驚かされたのは、『スマホ没収』『トイレ休憩の許可制』などが、彼らの人生において都市伝説級、「そんな職場あるのか? まさか!? 嘘もたいがいにせえよ!」と疑問符を、汽車ぽっぽのごとく浮遊させずにはいられないほどの信じがたき制度であるということだった。

 彼らは目玉を突き出し、鳩山由紀夫よろしくの形相で、僕を刺すように見た。
 未確認飛行物体でも見るようなまなざしであった。

 つまるところ、高卒と大卒は、就業における常識もてんで違うのだ。

トイレ休憩の自由すらない高卒/私用電話も可能な大卒

 高卒で有効資格ゼロの底辺である僕はてっきり、「スマホ没収」「トイレ休憩の許可制」がごく一般的な社員のルールだと思い込んでいた。
 しかし驚愕は、そんなものでは済まなかった。

 彼ら大卒者は断りもなしに、勤務中にちょっとした私用の電話をするため廊下へ飛び出たり、おもむろにカバンから実用書を取り出して読み始めたり、「ふわぁ~疲れたぁ~」と健康ストレッチをしながら一服のネットサーフィンを開始するではないか。
 それを背後から見つけた上司は、ただただ笑みを浮かべて、「進捗どうだ?」と彼らに問い、彼らもまた笑顔で、「現状はですね……」と、澄み切った調子で答えるのだ。

 これがエリートの楽園なのか、僕はわなわなと震えた。
 まだ一般社員の彼らが、役職の一つもついていない彼らが、自由にその命を生きているのだ!

 自己裁量権……、僕はそんな言葉の意味を思い知らされた。
 強制奴隷制の下で、日銭目当てに魂のたたき売りをして来た我々には、到底思いつかない発想、それが自己裁量権だ。
 マッチ売りの少女ですら、幻影と遊び始めるという業務外行動を行っていた訳で、つまり僕はそれすら不可能なブラック企業にばかり勤めていたのだ。

 身勝手なトイレ休憩は悪行とされており、都度報告が義務付けられているプレッシャーから、排尿した直後にまた排尿、それでも懲りずにまた排尿したくなり、排尿だけで日が暮れるのではないかと思うほど、トイレが近くなったこともある。
 排尿恐怖、そんな病み方をした結果、僕は高卒向けの企業で働くのが怖くなり、バックレを繰り返してしまったのだ。

 僕ら高卒底辺が、トイレ休憩の自由を手にするには少なくとも、マネージャークラスに這い上がらなくてはならない。
 求めているのは昇級でも昇給でもなく、小便休の自由だ。
 我々、高卒底辺組は、そういった次元で戦っている。

高卒底辺は「THEお仕事」しか許されない

 さんざ愚痴をぶっぱして来たが、おそらく白雲にまたがる大卒の諸君は、「まともな会社に頑張って入りなされ」と群青色の上段から指をさしてくることだろう。
 自由な時間に行けるトイレの、それも自動で石けんと水が出てくる高性能な奴で洗った、その汚れを知らない指先で。

 そう指図されたところで、大卒向けの企業では、書類審査すら通らないのが現実なのだ。
 一所懸命、好印象と気迫のイメージを膨らませるため、高級な万年筆を用いて、丁寧に書き上げても、破り捨て去られて終わりなのだ。
 大卒以上と書いてるだろバーカ、読解力ねぇのか? だから高卒なんだよ。
 そんな言葉がテレパシー的に伝達されてくるから、そうした企業に履歴書を書こうとすると手が震えてくる。
 直談判しようにも、「申し訳ありませんが、所定の手続きをお願いします」と、冷淡な受付嬢に一蹴され、「そこをなんとか、やる気だけはあります」と語るも、「申し訳ありません」マシーンと化した女性の右に出るものなし。

 やる気は、特定の条件が揃うことではじめて価値を生むものであり、むやみやたらにやる気を出してもクレーマー扱いされて終いなのだ。
 学歴、知力、容姿、コミュ力、タイミングをやる気十二分に集めてはじめて、封印されしエクゾディア企業、つまり大卒向けのホワイト企業へ入社することが許されるっつー寸法である。

 僕が以前働いてきた企業では、大卒の彼らとなんら変わりないことを、業務に全く支障のない範囲で行ったとしても、「勤務中だよね?」「やっていいこととやって悪いことが分からないの?」「ここはお前の家じゃねぇんだよ」と叱り飛ばされるのが通例であった。
 それだけに留まらず、会社のためになる勉強を空き時間にしようとしただけで、「そういうことは自宅でやってくれる?」と大目玉を食らう始末だ。
 仕事らしい仕事――THEお仕事、それが僕ら底辺高卒奴隷が強いられる働き方なのだ。

 働き方改革がいくら好転麗しく実行されようと、僕のIPHONEは没収され、トイレを我慢しなくちゃならねぇっつー、高卒イジメのための伝統芸能的な悪癖は変わらねぇだろうな。
 最悪のケースだと、トイレ休憩は定められた時間にしか許されず、その時間は小便器センターが混んでおり、後ろに待ち人がいるという恐怖から出るものも出なくなり、デスクで漏らすことも考えられるだろう。
 そんなリスキーな勤務をしていた時代も、事実あった。
 そうやって、僕は会社そのものを便器と見立てて生きるしかなくなるのだ。
 残念だ、高卒というただ一点が、僕の尊厳をここまでおとしめ、きずつける。

高卒とは――蟹工船に乗船する決意に似たり

 多くは望まねぇんだよ。スマホを持ち歩け、自由にトイレに行けて、月給20万円ありゃー、人生バラ色さ。

 世の中には、一見業務に関係なさそうでいて、それがリラックスや将来の利益に結びつく類いの行いってもんがある訳だが、そんな高尚なことは高卒底辺奴隷の僕らには許されていないのだ。

 僕は、ジャパニーズ蟹工船の中で、暴風雨に打たれながらカニ漁をし続けたことで、背筋が凍るほどのことを理解できた。
 ちょきちょきのカニを何千体捕獲したところで、ピースフルとはほど遠い闇夜の飛沫しか上がらねぇ。

「恐れ入ります」「すいません突然のお電話」「いつもお世話になっております」
 トイレ行きたい、トイレ行きたい、己の肉体内部と、上司の冷酷な目つきに急かされながら、来る日も来る日も自アポ自営だよ、営業トーク乱射からの門前払いを食らって泣きべそだ。
 逆流性膀胱炎になって、目玉から小便を漏らしながら営業を仕掛ける未来が想像できちまうな。涙腺にウォシュレット付けようが、三角折りのトイレットペーパーをかまそうが、全身から漏れ出る高卒底辺のオーラがすべてのチャンスを水に流しちまう。

 分かったか、これが高卒底辺の就活事情なんだよ。
 しかももう31歳だ、便所コオロギが公衆便所に就職するのを見習って、ぼくも落ちるべき所まで落ちて、常識では考えられないブラック企業に入社する他ないかもしれねぇな。

 だがそれも人生だ。歯を食いしばって耐えるしかねぇ。
 大卒が有利なのは、就活と給与の面だけじゃない。
 就業環境、精神状態、人生のすべてだ。
 世の中のちびっ子たちに、この事実を突きつけてやりたい。
 僕のような奴隷を反面教師にして、蟹工船に乗船しない人生を生きてくれ。
 明けない夜はないが、沈んだ船は日の目を見られない。
 人生の幸福はポジションで決まる。
 太陽に照らされる人生を。
 沈みゆくピピピピピより。
 深海は今日も暗い。
 I'll be back!

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